新型コロナウイルスが猛威を振るい始めてから既に1年半以上。
「第○波」⇒「緊急事態宣言」⇒「緊急事態宣言解除」⇒「第○波」と、収まる気配が一向にありません。
そんな中、感染防止対策として私がテレワークに移行したのは2020年の4月。
世の中の動向を考えると「早い方だったのではないかな?」と思います。
さて、テレワークに移行する中で欠かせないのがインターネットを利用したコミュニケーションツールです。
私はこれまでのテレワーク期間で『Microsoft Teams』と『Slack』という、2つのコミュニケーションツールを業務利用してきました。
そこで本記事では、Microsoft TeamsとSlackについていくつかの観点から(あくまで個人的な)レビューを行っていきたいと思います。
※なお、デフォルト設定を前提として進めていきます。(私が「ここが使いにくい」と思う箇所も、実は設定で変えられる、なんてこともあるかもしれません。)
チャット機能はSlackに軍配
コミュニケーションツールに欠かせない機能の一つである、チャット(あるいはメッセージ)機能。
このチャット機能に関しては「Slackの方が使いやすい」と感じました。
チャット機能の使用感まとめ
- メッセージの送信:「Enter」 ⇒ 慣れていない場合、メッセージの誤送信が頻発する
- メッセージ内の改行:「Shift」+「Enter」
- メッセージの通知:自身が宛先、および自身が参加しているスレッド(※)のみ
- スレッドの表示:チャット画面上に展開
- メッセージに対するリアクション(LINEのスタンプみたいな奴):少ない
- メッセージの送信:「Ctrl」+「Enter」 ⇒ メッセージの誤送信が減る
- メッセージ内の改行:「Enter」
- メッセージの通知:自身が参加しているチャンネルへの投稿すべて、および自身が参加しているスレッド
- スレッドの表示:チャット画面とは別のタブに展開
- メッセージに対するリアクション(LINEのスタンプみたいな奴):豊富
※メッセージに対して返信するとスレッドが作られ、一貫した会話の流れを作成・保持することが出来ます。
「Slackの方が使いやすい」と感じた点
前項で挙げたうち、「メッセージの通知」「スレッドの表示」「メッセージに対するリアクション」の点において、Slackの方が圧倒的に使いやすいと感じました。
メッセージの通知
Microsoft Teamsの場合、自分に向けられたメッセージ以外は通知で受け取ることが出来ません。
つまり、自分の作業に影響を及ぼすやり取りが、自分の知らないところで交わされる可能性があります。
スレッドの結論は(常識的に考えて)影響する担当者へメンション(※)で通知されるとしても、結論が正しいとは限らない場合も往々にしてあります。
※特定の人に対してメッセージを(あなたに対してですよ、という意味で)通知する為に使用する機能。
「私がこの会話に参加していたら、ここでこういう提案あるいは懸念を伝えることが出来たのに…」みたいなケース、遭遇したことがある方も多いのではないでしょうか?
対してSlackの場合はどうかと言うと、自分に宛てられたメッセージではなくても(そのチャンネルに参加してさえいれば)通知を受け取ることが出来るため、「あ、このメッセージの内容は私にも影響しそう」といった様に気付くことが出来るわけです。
また、新着メッセージがあった時の見え方にしてもSlackの方が見やすいと感じました。
Microsoft Teamsの場合は独自の通知表示形式ですが、これが小さくて気付きにくいんです。
スレッドの表示
Microsoft Teamsの様にチャット画面にスレッドの内容が展開される場合、スレッドの中身を確認しているうちはチャンネルに新たに投稿されたメッセージを見ることが難しくなります。
もちろん見れないわけではないですが、
一度開いていたスレッドを閉じて、
新規メッセージを確認して、
再度スレッドを開いて、
最後に見ていた場所を探して、
と言った様に非常に手間がかかります。
対してSlackは別タブ(パースペクティブ?)でスレッドが表示されるため、最新のメッセージを眺めながらもスレッドを開き続けることが出来ます。
メッセージに対するリアクション
テレワークへ移行すると、他のメンバーの雰囲気を感じることが出来ないために、コミュニケーションの質が低下しがちになります。
そう言った面を補うためのチャット機能は確かに便利ですが、文面だけだとどうしても味気ないモノになってしまいます。
そこで重要になってくるのが、メッセージへのリアクションの豊富さです。
簡単に言うとLINEのスタンプみたいな奴ですね。
Slackの場合、このリアクションがデフォルトで数多く備わっており、拡張すればさらに面白いリアクションなども追加することが出来ます。
対してMicrosoft Teamsはデフォルトのリアクションが少なく、ビジネスライクな感じが否めません。
通話機能もややSlackに軍配
コミュニケーションツールにおいてチャットと同じぐらい使用頻度が高くなる通話機能も、個人的にはSlackの方が使いやすいと感じました。
通話機能の使用感まとめ
- 背景フィルター(※)を拡張なしに設定できる。
※自身のカメラ映像のうち、顔以外の部分を隠す機能。 - 画面共有時にも参加者の顔が見える。(個人的にはデメリットと感じる)
- 画面共有時、共有者のパソコンの操作を参加者が行うことが出来る。
- 背景フィルターはWeb版でのみ利用可能。(別途ツールのインストールが必要)
- 画面共有時は参加者の顔が見えない。(個人的にはメリットと感じる)
- 画面共有時、共有映像上にペンで書き込みが出来る。
※音声通話・ビデオ通話といった基本的な機能は省いて考えています。
「Slackの方が使いやすい」と感じた点
上記の比較を見てみると、「Microsoft Teamsの方がいいんじゃないか?」と思われる方もいるかもしれません。
もちろん、私自身Microsoft Teamsを使っていて「あ、これ便利だな」と思う箇所はあり、「どちらかというとSlackの方が使いやすいかな」と感じたぐらいです。
恐らくですが、必要とされるコミュニケーションレベルによって向き不向きがあるのかもしれません。
その大きな理由が、映像共有時に参加者がとることが出来るアクション(操作・ペンで書き込み)にあります。
映像共有時に操作が可能な方が良いケース
何らかの作業を文字通り『手取り足取り教える』場合には操作が可能な方が便利です。
システム開発の現場を例にすると、例えば環境構築やコードレビューなど、ベテランにしてみれば口を動かすよりも手を動かした方が早い場合があります。
逆に言うと、イメージなどを口頭で使えることでメンバー間の認識を合わせることが出来るほどのコミュニケーションレベルがあるのであれば、それほど必要な機能とは言えないでしょう。
映像共有時にペンでの書き込みが可能な方が良いケース
『操作が可能な方が良いケース』でも若干触れましたが、イメージを掴むにはやはりペンでの書き込みが出来る方が便利です。
操作が可能な場合は文字と言葉だけでしかコミュニケーションが取れませんが、ペンを使うことで絵やイメージを描けるので、視覚的に・直感的に理解しやすくなるからです。
PCへの負荷ではややMicrosoft Teamsに軍配
Microsoft製品というと、Officeや開発環境であるVisualStudioなど、高機能ゆえにPCへの負荷が高いイメージがありますが、コミュニケーションツールにおいては必ずしもそうとは言えない様です。
あくまで私の経験ですが、就業時間内(9:00~18:00)にSlack/Microsoft Teamsの両方を立ち上げ続けていた場合、就業間際になって動作に支障が出るのはSlackの方です。
キャッシュファイルを削除するなどして多少の改善を見込める場合もありますが、そういった手間が必要ないMicrosoft Teamsの方がPCに対する負荷の面では優秀といえるでしょう。
また、通話機能のところでは触れませんでしたが、Microsoft TeamsよりもSlackの方がネットワーク状態の影響を受けやすい感じがします。
同じ回線であるにもかかわらず、Slackは時々切断されるのにMicrosoft Teamsでは何ともない。そんなこともありました。
ファイル管理機能はMicrosoft Teamsに軍配
Slackはあくまでコミュニケーションツールであり、ファイルサーバーとしての機能はありません。
送受信したファイルをキャッシュしておくような機能はありますが、例えば「昔送ってもらった/送ったファイルを探す」といった場合に、その時のメッセージ内容を検索しなければなりません。
対してMicrosoft Teamsはどうかというと、OneDriveと連携しているのでファイルサーバーを利用することが出来るだけではなく、メンバーが送受信したファイルも自動でOneDrive上に保持されます。
よって、コミュニケーションツール上でファイルを扱う場合にはMicrosoft Teamsが有用です。
タスク管理機能に関して
タスク管理の機能についても、Slackには無く、Microsoft Teamsにはあります。
ただし、Microsoft Teamsのタスク管理機能が「使いやすいか?」と聞かれると、「使いやすくは無い」というのが私の回答です。
タスク管理に関しては今流行りのBackLogや昔ながらのRedmineを利用しているプロジェクトも多いと思います。
特にBackLogなんかはSlackとの連携も可能ですので、Microsoft Teams標準よりも外部ツール+Slackに軍配が上がる、と考えています。
結論
あくまで個人的な意見ですが、総合してSlackの方が使いやすいです。
Microsoft Teamsと比べた場合のSlackの弱点としてはファイルやタスクの管理が挙げられますが、それらは外部ツール(BackLogなど)と連携することで簡単に解消できますし、外部ツールの方がMicrosoft Teams標準の機能よりも使いやすい場合だってあります。
そして何より、作業をしている中でメッセージの通知が分かりやすい事と、通話中にペンで書き込みが出来るという点でSlackが使いやすいと感じました。
Microsoft Teamsの通話中に操作が可能な方が良い場合もあるにはあるのですが、私のこれまでの経験では「出来る人/分かる人が操作すればいいじゃん」と、投げやりな感じで使われることが多かったので…。
最後に
今回は私がこれまで業務で利用してきた2つのコミュニケーションツールについて比較してみました。
新型コロナウイルスの感染状況が収束に向かっていったとしても、テレワークは今後も継続あるいは広まっていくと思うので、その際の参考になれば幸いです。
むしろ、テレワークもっと普及してください。
以上です。
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